大規模にマネージャーの能力を開発する統合的アプローチとは
はじめに
会社でマネージャーの能力を強化したいと考えるとき、従来の考え方であれば、もっと研修を行うべきだ、と思うかもしれません。そして、効果的な研修が重要であることは確かですが、それはパズルの一片に過ぎません。Google におけるマネージャー育成へのアプローチは、長年の調査研究に裏付けられており、座学研修の枠を超えています。私たちは、4 つの重要な要素に基づいた、包括的で統合されたマネージャー育成システムを通じて、優れたマネージャーを育成しています。
- マネージャーへの期待値を明確化する
- アカウンタビリティ、報酬、評価を連携させる
- 関連性の高い能力開発の機会を提供する
- マネージャーにとって重要なタイミングでコミュニケーションを行う
マネージャーの能力開発に向けた統合的アプローチの設計方法
「すべての Google 社員は、優れたマネージャーを持つに値する」という信念に基づき、私たちはまず、何が優れたマネージャーを創るのかを特定することから始めました(「Google の優れたマネージャーに関する調査」の記事参照)。複数年にわたる調査で、私たちは「マネージャーが、価値を認められ、支援を受け、優れたマネージャーの資質があると思えるためには、何が必要か?」ということを問いかけました。私たちはマネージャー支援を強化するため、データに目を向け、Google 社員、マネージャー、リーダー、専門家と対話し、重大なギャップと機会を探すことから始めました。
この調査から、組織全体で大規模にマネージャーの能力を開発するための 4 つの不可欠な要素を特定しました。
マネージャーへの期待値を明確化する: 私たちは、地域、プロダクトの分野、職務を問わず、Google におけるマネージャーであることが何を意味するのかを、明確かつ一貫して定義しました。この定義は「Google’s Manager Responsibilities(Google マネージャーの責任)」と呼ばれ、Google のすべてのピープルマネージャーに期待される 3 つのことを明確に示しています。それは、「結果を出す」「人材を育成する」「コミュニティを構築する」です。(Google’s Manager Responsibilitie に関する詳細は こちらの記事をお読みください。)
このフレームワークは、マネージャーにとって日々の指針となり、Google のビジネスの目標、文化的ニュアンス、そしてコアバリューを、すべてのマネージャーに対する一連の期待値に落とし込んでいます。
アカウンタビリティ、報酬、評価を連携させる:「Google’s Manager Responsibilities」を定義した後、私たちはそれを社員の業績・能力開発システムに組み込み、期待の連携とアカウンタビリティの向上を図りました。
マネージャーにとって重要なタイミングでコミュニケーションを行う: Google の人事チームは、重要な時期にあるマネージャーに対し、関連性の高いコンテンツや学習リソースを積極的に共有します。例えば、年次評価プロセスの一環としてマネージャーが厳しいフィードバックを伝える必要がある時や、組織が戦略の大きな変更を発表する時などです。こうした積極的なコミュニケーションは、マネージャーが困難または予期せぬ状況を効果的に管理するために必要なリソースを、より簡単に見つけられるようにすることを目的としています。
この調査から、組織全体で大規模にマネージャーの能力を開発するための 4 つの不可欠な要素を特定しました。
マネージャーへの期待値を明確化する: 私たちは、地域、プロダクトの分野、職務を問わず、Google におけるマネージャーであることが何を意味するのかを、明確かつ一貫して定義しました。この定義は「Google’s Manager Responsibilities(Google マネージャーの責任)」と呼ばれ、Google のすべてのピープルマネージャーに期待される 3 つのことを明確に示しています。それは、「結果を出す」「人材を育成する」「コミュニティを構築する」です。(Google’s Manager Responsibilitie に関する詳細は こちらの記事をお読みください。)
このフレームワークは、マネージャーにとって日々の指針となり、Google のビジネスの目標、文化的ニュアンス、そしてコアバリューを、すべてのマネージャーに対する一連の期待値に落とし込んでいます。
アカウンタビリティ、報酬、評価を連携させる:「Google’s Manager Responsibilities」を定義した後、私たちはそれを社員の業績・能力開発システムに組み込み、期待の連携とアカウンタビリティの向上を図りました。
- 目標設定:本プロセスでは、マネージャーが「Google’s Manager Responsibilities」に沿って目標を設定することを奨励しており、これにより、彼らが結果だけでなく、チームをどう率いるかにも目を向けられるようにしています。
- 構造化されたフィードバック: 各個人は、「Google’s Manager Responsibilities」に関連して、自身のマネージャーへのフィードバックを提供するよう求められます。そのフィードバックは集約され、各マネージャーに共有され、成長と改善の領域を特定するのに役立ちます。
- 業績評価:年次の業績評価において、マネージャーの有効性は「Google’s Manager Responsibilities」のフレームワークを通じて測定されます。
- 昇進基準:「Google’s Manager Responsibilities」(結果を出す、人材を育成する、コミュニティを構築する)は、昇進決定時にも考慮されます。
マネージャーにとって重要なタイミングでコミュニケーションを行う: Google の人事チームは、重要な時期にあるマネージャーに対し、関連性の高いコンテンツや学習リソースを積極的に共有します。例えば、年次評価プロセスの一環としてマネージャーが厳しいフィードバックを伝える必要がある時や、組織が戦略の大きな変更を発表する時などです。こうした積極的なコミュニケーションは、マネージャーが困難または予期せぬ状況を効果的に管理するために必要なリソースを、より簡単に見つけられるようにすることを目的としています。
優れたマネージャーを支援する独自のシステムを構築する
マネージャーの能力を開発するための私たちのアプローチは Google に合わせて作られたものではありますが、その根底にある原則は、自社のマネージャーの能力向上を目指すリーダーにとっても参考になるものです。ここにいくつかのヒントを挙げます。
- ステップ 1:重点分野を特定する。Google では、データに目を向け、Google 社員、マネージャー、リーダー、専門家と対話し、どの重点分野がマネージャーにとって最も役立つ可能性があるかを理解しました。私たちの学びからは、上記で挙げた 4 つの要素が導き出されました。他の企業であれば、他の投資すべき分野があるかもしれません。重要なのは、それらの改善分野が、自社の従業員のニーズを満たし、かつ組織が推し進めたいイニシアチブと連携が取れている、ということです。
- ステップ 2:資料を作成する。この資料では、効果的なマネージャーと、自社のビジネスにとって重要な主要な成果(チームのパフォーマンス、従業員満足度、定着率など)との間の明確な関連性を示します。
- ステップ 3:リーダーシップ レベルでの賛同を得る。このプロジェクトを進めるために必要なサポートを得るため、主要なステークホルダーやリーダーに資料を共有しましょう。共有する際には、インプットに思慮深く耳を傾け、それらを計画に取り込めるようにしましょう。
- ステップ 4:部門横断的に、複数年にわたる計画を構築する。 システム的な変革には時間がかかります。プロセスを急がないでください。組織の現在のニーズと将来の目標に合ったペースで、これらの要素を統合するステップを踏めるようにしましょう。
- ステップ 5:実行しながら、実験、測定、改善を行う。 データとフィードバックを収集し、適応できるようにしましょう。マネージャーから直接意見を聞くためのユニークな方法を検討しましょう(「マネージャーの経験を理解するための聞き取り調査」の記事参照)。