履歴書を審査する

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じめに

世界中のたくさんの人が履歴書を書いており、採用担当者がそれだけ多くの履歴書を審査しています。履歴書は就職の第一関門であり、面接に進む応募者を選考するためのものです。応募者のポテンシャルを 1 枚の紙で見分けることは困難ですが、募集している職務の応募者を効率的に比較し、できるだけ有望な応募者を見つけるのに役立ちます。Google の履歴書審査チームでは、世界中のほぼすべての国から年間およそ 300 万通寄せられる履歴書を審査し、優秀な人材を常に探しています。

履歴書は、人材を選考する手段としては明らかに不完全です。無意識の偏見が入り込む余地が大きく、情報が誤って解釈されるおそれがあります。研究によると、氏名、住所、学校、部活動、職歴、人種、保護者の状況、社会経済的状況などの微妙な情報が、無意識に応募者への期待や評価に影響することがあるといわれています。時間的な制約も無意識の偏見につながり、意思決定に影響するおそれがあります。したがって履歴書の審査には、系統立った一貫性のあるプロセスが有効といえます。

一貫性とインパクトを審査する

Google が最初に行う履歴書の審査では、以下のような点に注目しています。

  • 応募書類の完成度: 履歴書を詳しく審査することで、応募者が細かいところまで気を配っているかどうかがわかります。
  • 定量化できる仕事のインパクト、貢献、実績: 売上実績、特許申請数、学術賞の受賞歴など、疑う余地のない定量化可能な経験が望ましいといえます。
  • 時系列が明らかな職務経歴: 応募者のこれまでの仕事内容や経験をすべて知ることは有益ですが、失業期間があるという理由だけで不採用にするべきではありません。研究によると、たとえ短期間でも失業期間のある応募者は、不当に低く評価されるときがあることがわかっています。

応募条件に基づく審査

履歴書の審査プロセスは、応募者からの履歴書が届くかなり前に始まります。審査は、募集のための職務内容の記述や最低限の応募条件と望ましい応募条件の一覧を作成する時点から始まっているのです。

  • 最低限の応募条件とは、応募者がその職務を担うために満たしていなければならない基本的で証明可能な条件で、通常であれば交渉の余地はありません(例: 学歴、認定資格など)。
  • 望ましい応募条件とは、必須ではないものの、理想的な応募者として身につけていることが望ましいスキルや経験です。最低限の応募条件に比べると、定性的な条件が多くなります(例: 交渉能力に長けている、教育者としての経験がある、など)。

募集した職務ごとに定めた応募条件を基準に履歴書を審査することで、より効率的かつ公平で綿密な選考ができます。基準を明確に設定しておくことで、条件を満たしていない応募者を除外し、望ましい条件を多く満たしている応募者を特定する作業が容易になります。

応募者と職務を適切にマッチさせる

Google では、ある職務の履歴書を審査する際、社内の別の部署で同じような人材を探していないか確認するようにしています。また、よく似た職務の募集を同時に行う場合、応募者がどれに応募するのが最適か判断できないことも考えられます。有望な応募者には別の職務への応募をすすめることも検討してください。

不採用になった優秀な応募者を再検討する

優秀な応募者が現れたのにタイミングが合わないという場合もあります。別の応募者を採用した直後だったり、会社として採用したい人材なのにポジションに空きがなかったり、といった場合です。

Google では、2010 年に実験を行いました。ボーダーラインぎりぎりで不採用となったソフトウェア エンジニアの一部について履歴書を再検討したのです。こうした応募者はその後数年の経験を積んでいますし、Google が必要とする人材も変わっていました。

この実験からわかったのは、不採用の人を含めすべての応募者に、この会社に応募してよかったと思ってもらうことが大事だということです。将来、彼らが有望な応募者になるかもしれないのですから。