仕事の面だけでなく個人的な面でもチームに配慮する

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じめに

Google マネージャーの行動規範

Google のマネージャーを対象とした調査よると、効果的なマネージャーは仕事の面だけでなく個人的な面においても自分のチームを気にかけていることが明らかになっています。

仕事の面において、Google のマネージャーはフィードバックを提供したり、成長するチャンスを見極めたり、スキル向上に焦点を当てたりしながらチームを作り上げていきます。マネージャーは現在の職務における昇格のみに重点を置くのではなく、同じような影響をもたらす別の機会を視野に入れるようチームを指導しています。たとえば、別のチームで現在の職務と同等の仕事をしながら新たなスキルを磨く異動や、現チームのエキスパートとして貢献できるスキルの習得などがあります。

個人的な面においては、Google ではマネージャーとしての成功には各チームメンバーそれぞれの満足感に配慮することが不可欠であるとしています。しかし、チームメンバーを気にかけるだけではマネージャーとして十分とは言えません。前述の調査によれば、部下から高く評価されるには、自分がいかに部下のことを考え、サポートしているかを示す必要があることがわかっています。マネージャーは部下に対する配慮を示し、それを伝える必要があるのです。そのためには、相手に共感できること、そして相手の気持ちを理解できることが重要な鍵となります。

キャリア形成に役立つ話し合いをする

Google では、マネージャーと部下がキャリアについて定期的(四半期に 1 回など)に話し合うことを推奨しています。個人差があるため、この頻度はマネージャー側で適宜調整する必要があります。たとえば、昇進を控えているメンバーや若手のメンバーについては、話し合いの機会をもっと設ける必要があるでしょう。

キャリア形成について話し合う場合、次の点について事前に考えておきます。

  • チームメンバーのパフォーマンスと実績
  • メンバーが楽しいと感じる仕事
  • メンバーが得意とする仕事
  • メンバーの現在の仕事
  • 組織がメンバーに求めていること
  • 最も改善すべきエリア
  • キャリア形成に関してメンバーが必要とするサポート
  • 自身の価値を知ってもらうためにできること

GROW モデルを使ったキャリアディスカッション

キャリアについてチームとマネージャーが話し合いやすくするため、Google では GROW モデル(Graham Alexander、Alan Fine、Sir John Whitmore が開発したコーチング モデル)を採用しています。

Goal: 目標の明確化。チームメンバーがキャリア形成の先に見据えているものを特定します。

  • 「1 年後、5 年後、10 年後の自分はどうなっていると思いますか?」
  • 「収入や現在のスキルの制約がないとしたら、どのような仕事に就きたいと思いますか?」
  • 「興味、価値を置くもの、原動力となっているものは何ですか?」

Reality: 現状の把握。チームメンバーの現在の役割とスキルを理解します。

  • 「現在の業務で最もやりがいを感じること、あるいは、ストレスを感じることは何ですか?」

  • 「現在の業務はやりがいがありますか?能力を伸ばせていますか?どうしたらさらにやりがいを感じられますか?やりがいのない業務は何ですか?」

  • 「自分の長所と短所について、他の人からどんな指摘を受けたことがありますか?」

Option: 選択肢の検討。目標と現状のギャップを埋めるための方法を複数考えます。

  • 「以前話し合った目標達成のためのスキルを磨くのに、今できることは何ですか?」
  • 「自分を伸ばすために、どのような仕事やプロジェクトに挑戦したいですか?また、どのような経験をしたいですか?」
  • 「選択肢として、どのようなネットワークやメンターシップがありますか?」

Will: 意思の確認。現状から目標に向かうための実現可能なステップを特定します。

  • 「何を、いつまでに行いますか?」
  • 「役に立つリソースは何ですか?目標達成のために役立つスキルは何ですか?」
  • 「どのような支援が必要ですか?自身のキャリア形成について、マネージャーやリーダーからどのようなサポートを受けたいと考えますか?」

カスタマイズ

キャリアに関する話し合いのワークシート

このワークシートを印刷し、チームメンバーとキャリアに関して話し合う際にお役立てください。

「シンプルな 1 つの目標」の設定

Google では、社員の満足度を高めるために「シンプルな 1 つの目標」の設定をしています。チームメンバーは自分が健康も含め充足し、ワークライフバランスをうまく保てるような目標を設定し、マネージャーはチームメンバーがそれを達成できるようサポートするのです。

チームメンバーは仕事以外の目標を設定してマネージャーに伝えますが、この目標は、メンバーの健康で充足した生活を確実にサポートするものである必要があります。またマネージャーは、この目標追求が仕事に支障をきたさないことをメンバーに説明するといいでしょう。この目標は、仕事に関連した目標と同様に、チームメンバーの目標でもあり、マネージャーの責任範疇でもあります。また、マネージャーは、「シンプルな 1 つの目標」を他のチームメンバーだけでなく友人や家族にも伝えるようチームメンバーにすすめます。誰もが目標達成に向けコミットできるようにするためです。

「シンプルな 1 つの目標」の例:

  • 「週 3 回、1 時間運動する。
  • 「週 2 回、娘が寝る前に一緒に遊べるように午後 6 時前に退社する。
  • 「週末にメールチェックをしない。
  • 「この四半期中に 1 週間の休暇をとり、その間は仕事から離れる。

カスタマイズ

「シンプルな 1 つの目標」のためのワークシート

このワークシートを使用して、チームメンバーの満足度を高めるための目標を設定し、その目標を達成できるようサポートしましょう。

共感と思いやりについて理解する

Google では、マネージャーが個々のチームメンバーに対してそれぞれに対する気遣いを示すことが重要と考えています。そのため、相手に対してどのように共感し、思いやりを持てばよいかについて、マネージャーが正しく理解できるようサポートしています。それにはまず、共感と思いやりの違いを知る必要があります。共感とは、他の人の立場と感情の状態を感じる能力です。一方、思いやりはもう一歩踏み込んだ感情で、他の人の不安に共感したうえでそれを和らげたいと思う気持ちです。

共感と思いやりの違いについては、専門家による研究が始まっています。過度な共感は共感する側にストレスを与えて消耗させる一方、思いやりは気遣い、温かみ、そして他の人を助けたいというモチベーションとなるいうことが、神経科学的に証明されました。

マネージャーが思いやりの気持ちを育むためのヒントを次に示します。

  • どのようなサポートが必要かを尋ねる。求められていることをわかったつもりにならない。
  • チームメンバーとの共通点を探す。
  • チーム内では競うのではなく、協力することを推奨する。
  • 個々のチームメンバーに心から関心を持つ。
  • 思いやりある振る舞いを浸透させるために模範を示す。
  • 相手に過度に思い入れることは避け、境界は明確にする。