チームのビジョンを設定してメンバーに伝える

チームのビジョンを設定してメンバーに伝える

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じめに

Google マネージャーの行動規範

Google のマネージャーを対象とした調査よると、評価が高いマネージャーに見られる重要な特徴として、ビジョンの設定が挙げられます。チームとして明確なビジョンを有していることは様々な点で役立ちますが、とりわけ以下の点で重要な意味を担っています。

  • ビジョンはチームの成功に不可欠である。高い評価を得ている、ある Google のマネージャーは次のように述べています。「魅力的なビジョンをチーム内で共有することはチームの成功に不可欠です。1 つのビジョンを持つことで全員がこれに集中し、同じ方向に向かって進むことができるからです。逆に、ビジョンがないと集中力が削がれてチームとしての勢いがなくなり、大きな打撃となります。
  • チームメンバーは、自分たちがどこに向かっているのかを知る必要がある。チームとしての明確なビジョンを持つということは、チームメンバーの誰もがチームの目標、進捗、成功のイメージを把握していることです。
  • ビジョンは、チームがやるべきことを決める際に役立つ。明確なビジョンがあれば、何を優先させ、どこで妥協するかを決めることができます。マネージャーは意思決定を伝える際、それをビジョンと関連付ける必要があります。

ビジョンを設定したマネージャーは、それを効果的にチームに伝える必要があります。評価の高い Google のマネージャーはビジョンを伝える際、口頭または書面で、明確、簡潔、率直に伝えています。このように効果的に伝えられるマネージャーは、優れた聞き手でもあります。Google ではマネージャーに、悪いニュースがあるときも含め、常にチームのために時間をとり、率直に話し合い、忌憚のない意見を聞くようにすすめています。

チームとビジョン設定を行う

マネージャーがチームと協力してビジョンを策定できるように、Google では次のようなステップを設定しています。これによりチームは価値を明確化し、その価値を短期的な目標に落とし込むことができます。

  • コアバリューは、チームの基盤となる信念を意味し、チームのパーパスとミッションとを導き出します。
  • パーパスは、チームの存在理由とチームが組織全体に与える影響です。もし、自分たちのチームが存在しなかったら、どのような影響があるか考えてみましょう。
  • ミッションは、達成しようとしている目標を表します。
  • ストラテジーは、ミッション達成のために将来にわたって展開する手段を意味し、長期にわたる場合があります。
  • ゴールは、ストラテジーを短期的で達成可能な目標へと落とし込んだものです。チームの取り組みを一つにまとめる働きがあります。

コアバリュー、パーパス、ミッション、ストラテジーが一体になって、チームのビジョンが形作られます。チームのビジョンとは、チームがなぜ存在するのか、そして、何をどのように達成しようとしているのを表すものです。

ビジョン共有

以下のチーム演習は、2 日間にわたり 8 時間かけて行われるマネージャー主導型のセッションです。内容はチームのニーズに合わせてカスタマイズできます。この演習の目的は、チーム ビジョンの重要性をチームが理解し、仕事の効率を加速するコアバリュー、パーパス、ミッション、ストラテジーを明確化することです。またそのための方法についても学びます。このセッションではスライドではなく、グループでのディスカッションや演習に重点を置いています。

カスタマイズ

共有ビジョン設定のスライド

チーム セッションで使用するスライド。

共有ビジョン設定のためのファシリテーター ガイド

共有ビジョン設定のセッションを効果的に実施するためのファシリテーター向けメモとポイント。

聞いて繰り返す

リフレクティブ リスニングでは、相手が表に出した言葉や気持ちを聞き、それを自分の言葉に置き換えて繰り返します。これによりマネージャーはさらに効果的にコミュニケーションを取れるようになり、チームメンバーは自分が理解されていると感じることができます。Google のマネージャー調査中で、評価の高いあるマネージャーのことを Google 社員は次のように語っています。「私が言っていることをマネージャーは常に理解してくれているのだと感じました。サポートについても同様で、私が一歩を踏み出すのにためらわず背中を押してくれました。
ここでは、Google がマネージャーに提供している、会話中の発言や気持ちを振り返る方法に関するヒントをいくつか紹介します。

気持ちを受け入れる

  • 「このことについて不満を感じている(または怒っている、満足している)ようですね。
    聞いた話を要約して、自分が理解していることを確認しながら重要な点を強調する
  • 「… のようですね。
  • 「言い換えれば …。
  • 「つまり、… ということですね。

不明確な点から相手の視点を明確にする

  • 「… についてちょっとわからないので、もっと詳しく聞かせてください。
  • 「こういうことだと思うのですが、あっていますか?」

受け入れて共感する

  • 「なるほど、これがあなたにとってなぜ重要なのかはわかりました。
  • 「あなたがなぜそのように感じたかわかります。

マネージャーがフィードバックするのをサポートする

効果的なマネージャーにとって最も重要で難しいものの 1 つが、チームメンバーへのフィードバックです。Google では、フィードバックの際、次の点について考慮するようマネージャーにすすめています。

  • 質の高いフィードバックを提供する。自分に問いかけてみてください。「各チームメンバーに同じ質のフィードバックを提供しているだろうか?」、「チームメンバーのプロジェクトを、彼らと同じくらい理解しているだろうか?」。このような問いを自分に向けた Google のあるマネージャーは、離れたオフィスにいるチームメンバーとの 1 対 1 のミーティングの時間を通常よりも長くとることにしました。その結果、時間をかけて有意義な話し合いを行うことができました。
  • 基準に一貫性を持たせる。自分に問いかけてみてください。「チームメンバーへの期待や、予期する成果について、メンバーに説明したことはあるだろうか?」、「成功の基準をチームメンバーごとに設定したことがあるだろうか?」。基準が明確であれば、公平にチームメンバーの評価ができます。チームメンバーの業績や対人能力を評価する際、仮にそれらの業績や能力が別のチームメンバーのものだったら、自分がどのように評価していたか考えてください。無意識的な偏見に注意し、責任を持って、一貫した明確な基準を適用しましょう。
  • 思い込みを避ける。自分に問いかけてみてください。「思い込みに基づいて行動していないだろうか?」。たとえば、子供がいるチームメンバーを出張が多い仕事から外していないでしょうか?思い込みが、チャンスを与える妨げにならないように注意してください。仕事は個人に与えるか、または、チーム全体に与えて誰が担当するかの判断はチームに任せます。またこれに関連して、伝えてもできないかもしれないという理由で、率直なアドバイスを控えることも避ける必要があります。特定のグループに対する無意識的な固定観念のせいで、思い込みができてしまっている場合もあります。重要なのは、メンバー全員に対して、一貫したコミュニケーションを取るように努めることです。
  • 自分を正しく理解してもらう。自分に問いかけてみてください。「自分の言いたいことが正確に伝わっているかどうか?」。フィードバックを伝えた相手との相違点が多いほど、言いたいことが意図したとおりに伝わっていない可能性が高くなります。自分のメッセージには、思っているよりも多くのフィルタや文化的先入観に基づく思い込みの影響を受けています。こちらが言ったことをチームメンバーがどのように理解したか聞かせてもらい、必要に応じてもっと明確に伝えるようにしましょう。