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何気ないメッセージに潜む偏見を見直す

何気ないメッセージに潜む偏見を見直す

コンテンツ

  • はじめに
  • 職場での偏見の排除に取り組む
  • ダイバーシティに配慮した募集要項を作成する
  • 先入観をなくす

はじめに

人間は、何気ない方法で互いにさまざまな合図を送っています。それはときとして、無意識の偏見の影響を受けていることがあります。そして場合によっては、マイナスに作用してしまうこともあります。こうしたネガティブに働く合図のことを、研究者たちは「マイクロ インイクイティ(小さな不公平)」と呼んでいます。この小さな不公平に何度も遭遇すると、その体験が徐々に積み重なって帰属意識や価値観に大きな影響を及ぼしかねません。

周りの人のちょっとしたしぐさによって、その場で疎外感を覚えたり、活動への参加をためらったりすることもあります。ある調査結果によると、自分が周囲の目にどう映っているかということが(存在が認識されず「映っていない」場合も含めて)生理的および認知的な影響を及ぼすことがわかっています。この調査では、あるグループには参加者の大半が男性という会議の動画を、別のグループには参加者の男女比に差がない会議の動画を、それぞれ見てもらいました。その結果、前者に属する女性被験者は後者の女性被験者と比べて、ストレスレベルがきわめて高くなる一方、帰属意識や会議への参加に対する関心は低くなることが確認されました。Google では、従業員、会議の出席者、イベントの参加者などのリストを作成しようとする場合に、その意味合いを認識し、無意識のメッセージが潜んでいる可能性について配慮するよう心がけています。

個人的なキャリアパスに対する関心が物理的環境によって左右されることを明らかにした、別の調査結果もあります。研究者はこの調査で、コンピュータ サイエンスを専攻していない学生たちにこの分野に関心があるかどうか質問しました。すると、教室に設置された品々が、学生たちの関心に影響を与える可能性があることがわかりました。つまり、いわゆる「マニアック」なもの(スタートレックのポスターやビデオゲームなど)が置いてある教室と、平凡なもの(自然の景色のポスターや電話帳など)が置いてある教室とでは、前者にいた女子学生の方がコンピュータ サイエンスへの興味が著しく低かったのです。

これは何も、全員に同じように居心地の悪い環境を作り出すべきだという意味ではありません。重要なのは、特定のグループを疎外したり、あるいは特定のグループのみを歓迎する何気ないメッセージを発信したりすることが職場でも起こり得ると認識することです。Google では、レゴ、スターウォーズのポスター、おもちゃの鉄砲といったものを社内から一掃したわけではありませんが、従業員には職場のデザインや装飾について気を配るよう働きかけています。

職場での偏見の排除に取り組む

環境が個人の体験に影響を与えることがある、という研究結果があります。Google が 2013 年に新しいオフィスを開設したとき、すべての会議室に著名な科学者の名前が付けられました。しかしオフィスに入った Google 社員はすぐに、65 ある会議室のうち女性科学者の名前が付いているのは 10 室に満たないことに気づきました。確かに、全ての性別の「コンピューター科学者」たちが使用するスペースのデザインであることを念頭に置いていれば、もっとうまくできたはずです。そこで Google 社員たちが会議室の名前の変更に取り組んだ結果、現在では約半数の会議室に、科学に貢献した女性の名前が付けられています。

たとえ小さなことでも、意識的に変化を起こせば、すべての人を受け入れ、歓迎する職場に変えることができるのです。

Google の会議室

ダイバーシティに配慮した募集要項を作成する

募集要項は多くの場合、これから組織の一員になりたいという人材がその組織について知るきっかけになる文書です。また、組織が何を重視するかを感じ取れるものでもあります。性別を意識させる言葉遣いが含まれていたり、組織が求めている条件を十分に把握せずに募集要項を作成したりすると、知らぬ間に有望な応募者の意欲をそいでしまうことがあります。

Google でも、マーケティング担当のグローバル クリエイティブ ディレクターの求人でそうした事例があります。記載されていた条件の 1 つは、「業界を代表するグローバル ブランドを手がける国際的広告代理店での職務経験が 12 年以上ある」というものでした。ところが、広告クリエイティブ ディレクターという職種に女性が占める割合はわずか 3% なのです。広告業界もこの問題を認識していて、「The 3% Conference」と題されたカンファレンスも開催されています。Huffington Post ではこの問題を正面から取り上げており、Google でも、できるだけ多くの有望な人材を集められる募集要項を作成すべく直ちに行動を起こしました。募集要項を作成する際は、有望な人材からの応募を不用意に阻んでしまうことがないように、資格条件を引き上げすぎたり相対的であいまいな表現を使ったりしないようにする必要があります。

先入観をなくす

コンピュータ サイエンス(CS)を専攻する学生数を増やすこと、テクノロジー業界でこれまで少数派であった女子学生や社会的マイノリティグループに属する学生の確保が、世界的に大きな課題となっています。今日、CS の学位を持つ女子学生の割合はわずか 18% にとどまり、20 年前の 37% という数値を下回っています。Google はその理由を探るために、若い女性が CS の道を進むきっかけとなった主な要因を特定するための調査を依頼しました。

調査結果によると、女子学生や社会的マイノリティグループに属する学生が CS の道を選ばない理由としては、コンピュータ科学者に対するマイナス イメージや、「この分野にはコーディング以外に勉強する意義があるのか」という否定的な見方があるようです。つまり、先入観を取り払い、テクノロジー分野で活躍する社会的マイノリティの人々を紹介することによって、CS の魅力をより多くの人にアピールできる可能性があると言えます。

この調査に続いて Google が取り組んでいるのは、すべての学生が CS をもっと身近に感じ、CS に対する見方が変わるような戦略を立てることです。ハリウッドのスタジオや脚本家の協力を得て、CS を肯定的に扱ったストーリーや CS の多様なロールモデルを取り入れた作品の制作にも携わってきました。その際に利用したのが、制作の前段階、クリエイティブ面やビジネス面の意思決定を行う際に偏見を排除する手法です。2015 年には、ABC Family およびテレビドラマ『The Fosters』の制作陣とチームを組んで、登場人物の Mariana(ラテン系の 10 代の少女)がコーディングを学ぶストーリーの制作に加わりました。

無意識の偏見は個人的な経験によって形作られるだけではなく、メディアで使われるイメージや表現による影響を強く受けることも事実です。Google にとって、テクノロジー業界のダイバーシティが高まるよう働きかけることは、ビジネスの観点からも道徳的観点からもきわめて重要なのです。