Google では、人事に関して最も重要な意思決定を行う際に委員会を設置することがよくあります。委員会による意思決定によって、厳しい状況に置かれたり、不愉快な思いをしたりする場合もあるでしょう。しかし、チームで異なる意見を出し合うと、より良い偏見の少ない決定を下すことができるという調査結果もあります。
たとえば採用プロセスの最終段階では、採用委員会で応募者の審査と評価を行っています。委員会による決定には余分な時間がかかるかもしれませんが、不適切な人材を採用してしまうよりも、初めから最適な人材を採用できる方がはるかに生産的なので、このトレードオフには価値があるのです。
もう 1 つの例は、Google が昇進審査のプロセスで委員会を使って議論し、意思決定を行っていることです。その委員会では、まず昇進の基準について検討し、同じ基準に従ってすべての昇進候補をまとめて評価しています。
特定の種類の委員会を複数設置する場合、それらの委員会が確実に同じ期待値と基準に基づいて意思決定を行っていることが重要です。調整委員会は、こうした考えのもとに意思決定の基準を定めて維持する目的で設置され、プロセスを公正かつ一貫したものに保つために欠かせない存在です。Google では、カリブレーション(評価の調整)委員会によってパフォーマンス管理と昇進審査プロセスの一貫性を確保しています。委員会のための委員会を設けることは、あまりにも官僚主義的と思われるかもしれませんが、最良の成果を上げるためには有益な手段と言えます。