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構造化されたプロセスと成功基準を策定する

構造化されたプロセスと成功基準を策定する

コンテンツ

  • はじめに
  • 面接での偏見をなくす
  • 委員会による意思決定を試す
  • ツール: 偏見排除のためのチェックリストを使用する
  • チェックリストに関する Google の調査結果

はじめに

偏見をなくすための第一歩は偏見に対する知識を得ることです。そして第二段階には、行動を変え、意思決定から偏見をなくすという、非常に難しいステップが控えています。

Google はいくつかの方法でこの課題に取り組んでいます。その 1 つが構造化であり、構造化されたプロセスを経て意思決定を行います。無意識に抱く偏見によって影響を受ける可能性をこのプロセスが減らしてくれるためです。職場での意思決定における構造化プロセスには、以下のようなものが含まれます。

  • 成功基準を明確にする: 決定を下す前に、理想的な意思決定とはどのようなものか、その要素を定め、例を書き記します。
  • 成功についての理解を共有する: 意思決定者が複数いる場合、何を成功とみなすかに関する基準を互いにすり合わせ、それに基づいて意思決定を行う必要があります。
  • ディスカッションの機会を持つ: 思い込みをなくして透明性を保つために、可能な限り、各自の提案とその根拠について意思決定者が議論できる場を持つようにします。
  • 意思決定の範囲をあらかじめ決めておく: 議論に無駄がないようにするため、意思決定者は何が議論の対象であるかを理解しておく必要があります。

たとえば採用において評価基準をあらかじめ定めておかないと、無意識に抱く偏見によって、応募者に応じて評価基準が変わり、結果として不公平な採用活動が行われてしまう可能性があるという調査結果があります。ある研究では、応募者に期待することと、その基準をあらかじめ明確に示すことで、性差に関する思い込みが採用に及ぼす影響を減らすことができることが明らかになっています。採用プロセスを構造化することは難しくありません。職務を果たすための必要最小限の資格を記述し、すべての面接担当者と共有して、応募者がそれらの資格を満たしているかどうかを評価するための質問を面接担当者全員ができるようにするのです。さらに良い方法は、構造化面接を行うことです。

人々が意思決定をするプロセスを構造化することで、無意識の偏見が及ぼす潜在的な影響を緩和できるようになります。

面接での偏見をなくす

面接担当者が応募者を採用するかどうかは、面接の最初の 10 秒間の判断で予測がつくことが、さまざまな調査で明らかになっています。しかし、応募者の将来のパフォーマンスがほんの短時間の判断によって予測できるとは限らないはずです。ここで何が起きているかというと、確証バイアスです。つまり、面接担当者は最初に応募者に対する判断を下してしまうと、残りの時間は自分の判断を裏付ける証拠を無意識に探し、判断と矛盾する証拠は無視してしまうのです。

研究では、構造化された一貫性のある質問をすることで、面接の有用性を向上させることができるという結果が出ています。これに基づいて、Google では構造化面接を行っています。あらかじめ決められた標準的な方法に基づいて、応募者の回答を公正かつ一貫した方法で評価し、ポジションに最適の人材を採用するという手法です。

委員会による意思決定を試す

Google では、人事に関して最も重要な意思決定を行う際に委員会を設置することがよくあります。委員会による意思決定によって、厳しい状況に置かれたり、不愉快な思いをしたりする場合もあるでしょう。しかし、チームで異なる意見を出し合うと、より良い偏見の少ない決定を下すことができるという調査結果もあります。

たとえば採用プロセスの最終段階では、採用委員会で応募者の審査と評価を行っています。委員会による決定には余分な時間がかかるかもしれませんが、不適切な人材を採用してしまうよりも、初めから最適な人材を採用できる方がはるかに生産的なので、このトレードオフには価値があるのです。

もう 1 つの例は、Google が昇進審査のプロセスで委員会を使って議論し、意思決定を行っていることです。その委員会では、まず昇進の基準について検討し、同じ基準に従ってすべての昇進候補をまとめて評価しています。

特定の種類の委員会を複数設置する場合、それらの委員会が確実に同じ期待値と基準に基づいて意思決定を行っていることが重要です。調整委員会は、こうした考えのもとに意思決定の基準を定めて維持する目的で設置され、プロセスを公正かつ一貫したものに保つために欠かせない存在です。Google では、カリブレーション(評価の調整)委員会によってパフォーマンス管理と昇進審査プロセスの一貫性を確保しています。委員会のための委員会を設けることは、あまりにも官僚主義的と思われるかもしれませんが、最良の成果を上げるためには有益な手段と言えます。

偏見排除のためのチェックリストを使用する

調査によると、チェックリストは、無意識の偏見が意思決定に及ぼす影響を軽減するのに役立つようです。人が無意識に抱く一般的な偏見に着目し、偏見排除に注力できるように、Google の人事プロセスにおいては適宜、偏見排除のためのチェックリストが使用されています。Google では、自分や同僚が無意識なの偏見の影響を受けないように、このチェックリストの使用を推奨しています。

カスタマイズ

Google の業績評価における偏見排除のためのチェックリスト

Google では、昇進審査プロセスでマネージャーが意思決定を行い、チームとの議論を導くための指針として、このチェックリストを使用しています。

Google の採用における偏見排除のためのチェックリスト

Google では、面接や評価、意思決定で無意識の偏見がどのように働く可能性があるかをスタッフや採用マネージャーに気づいてもらえるよう、採用プロセス全般においてこのチェックリストを使用しています。

チェックリストに関する Google の調査結果

調査によれば、自分の意見を言うように従業員に働きかけると、職場におけるインクルージョン(ダイバーシティの受け入れ)や公平性が促進されるそうです。Google では、カリブレーション(評価の調整)委員会に出席するマネージャーを被験者として、対照実験を実施しました。その目的は、マネージャーに偏見を取り除くのためのチェックリストを与えることで、社員の業績について話し合い、評価する委員会において公平性に対する認識が変わるかどうか、また、発言内容に変化が見られるかどうかをテストすることでした。

マネージャーには以下の 3 つの条件のいずれかがランダムに割り当てられました。

  1. 会議の前にチェックリストをマネージャーにメールで送信。
  2. 会議の前にチェックリストをマネージャーにメールで送信するとともに、会議において議長がチェックリストのハードコピーを配付し、無意識の偏見に気づいた場合はそれを指摘するように促す。
  3. 特に何もしない(対照群)。

結果は複雑な内容でした。会議前にチェックリストをメールで受信しただけのマネージャーは、チェックリストを受け取っていないマネージャーよりも、公平性に対する実際の認識が大幅に低下したのです。なぜでしょうか。考えられるのは、「知らぬが仏」という考えが働いたということです。無意識の偏見について教えられたマネージャーは、自分自身や他人の中に潜む偏見をより意識してしまったようです。しかし、印刷されたチェックリストが配付された被験者は(条件 2)、無意識の偏見を指摘する「権利」とそれを効果的に行うためのツールが与えられたので、公平性に対する認識が大幅に高まったのです。

無意識の偏見を指摘するための教育、行動、プラットフォームの組み合わせは、偏見排除の戦略を周知するために Google で採用されている重要な手法です。